■歯科のレントゲン撮影
レントゲン写真は、肉眼では把握できない、むし歯の進行度、歯槽骨(歯を支えている骨)、歯髄(歯の神経)の状態を撮影してくれるので、歯の状態の確認、治療方針の検討に非常に役に立ちます。歯科にとっては、欠かせない診査機械のひとつとなっています。しかし、撮影による体への影響(被爆)が気になるところと思います。今回はそのことについて触れていきます。
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被爆の影響について
『私達の体は,自然界からもいろいろな放射線(自然放射線)の影響を受けています。例えば、自然放射線には、日頃、私たちが使っているテレビ、電子レンジ、パソコンなどの電化製品、テレビ、電子レンジ、パソコンなどの電化製品や、普段口にしている干し椎茸、昆布、ほうれん草、お茶などの日常的な食べ物にも微量含まれています。
例)
一般人が1年間に自然に受ける放射線量(自然放射線量) |
約2.40ミリシーベルト |
歯科レントゲン撮影(小さい写真) |
約0.02〜0.04ミリシーベルト |
歯科パノラマ撮影(大きい写真) |
約0.04ミリシーベルト |
胃のレントゲン撮影 |
約4.15ミリシーベルト |
胸部のレントゲン撮影 |
約0.13ミリシーベルト |
頭のCT撮影 |
約1.1ミリシーベルト |
このように歯科治療に用いるレントゲンで被爆する量は、医科に用いるレントゲンと比べてもかなり低いです。人が一年間に自然に受ける放射線量と比較しても、一目瞭然に少ないですよね。
歯が全部写って、顎の骨の形まで撮ることができる大きなレントゲン(パノラマ撮影)を、50枚撮ったとしても、年間の自然放射線量には遠く及ばないのです。さらに、当院では歯科用レントゲンによる撮影時、鉛のエプロンを使用しますので、被爆をさらに最小限に抑えることができます。
また、歯科用X線1回の照射でガン、白血病、遺伝的影響が起こるリスクの確率は1億分の1前後であり、無視できるレベル(ほぼゼロリスク)であるとされています。
これは一般のリスクに当てはめるならば、落雷によって死亡するリスクと同程度であるとされています。
また、妊娠中のレントゲン撮影は最も注意が必要と言われていますが、胎児への影響は、実際には5000回撮影して、初めて問題となってくるレベルです。
さらに、歯科のレントゲン撮影は照射部位が性腺や子宮から離れており、その上直接それら臓器にレントゲンが向くことがほとんどないので、実際に害が発生することは、ほとんどないと考えられています。
■今月のポイント・・・
歯科におけるレントゲン撮影の安全性は確立されていると言えるでしょう。しかも、当院では2005年5月中旬より、レントゲンのデジタル化により従来の8分の1の放射線量での撮影が可能となり、より安全です。しかし、いくら安全とは言え、当院では、防護エプロンの着用(直接レントゲンを約1/100に低減できる)など、細心の注意を払っております。また妊娠期は、安全とはいえ通常よりリスクが高いことは確かです。妊娠されている方は必ず事前にお申し出下さい。
今回の題材提供は、当院歯科医師の野山高秀先生です。
では、また来月をお楽しみに!
岸川歯科 院長 岸川 裕 |