こんにちは、岸川です。
今日は2月3日節分です。
さて、先月のコラムは、“なんぼなんでも省略しすぎじゃない”と、多方面よりご指摘頂きました(確かに!)ので、少し追加させていただきます。
歯科医師法第一条
歯科医師は、歯科医療及び保健指導を掌ることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。
健康とは、完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病または病弱の存在しないことではない。
WHO(世界保健機関)
これら第一条や健康の定義は、私をはじめ、まともな考えの歯医者には、DNAに組み込まれているといってもよい、大命題・定義です。
近年、公的医療・福祉が削減され続け、今後も光が見えない我が国が、“社会的福祉の状態”からかなり乖離してきていることは、皆さん身を以って感じられていることと思います。
政治・経済がますます厳しくなることが予想されている2008年ですが、私自身きっちりいい仕事をたくさんして、たくさん納税させていただき、上記健康の定義を完全に満たす方の割合が、少しでも増しますよう今年も、予防に審美にインプラントに精進していきたいと思います。
では、今月のコラムに移ります。
お題は、“備えあれば、憂いなし”です。
まず、症例です。
症例1
〇〇 〇美 72歳 ♀
写真A1は2007.4.11初診時です。
右上の抜けているところと、前歯がぐらつく、左下にも違和感がある・・等々 ということで、今回来院されました。御主人さんの紹介で、10年ほど前から当院へ来院されておりましたが、今回は、今ダメなところ、近い将来ダメになりそうなところ、すべての治療を希望されました。
現在、御主人さんが、肝臓がんの治療中で、付き添い等で時間的に余裕があるわけではないが、御自身が、口の中に問題箇所を色々と抱えたままでは、看病に専念出来ないから、この機会にきっちり治しておきたい、というお考えの様でした。
治療期間中、お遍路さん参りや、東京の病院への付き添いで、スケジュールをやりくりしながらでしたが、2008.1.24骨造築、インプラント、根幹治療、歯周治療、かぶせ、噛み合せ迄、すべての治療がスピーディーに完了致しました(写真A2)。 |
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右上は、抜歯穴(歯槽頂)からアプローチして水圧でシュナイダー膜を持ち上げた、ハイドロコンデンス式サイナスリフト(写真A3、A4)、左上は、側壁開創式サイナスリフトにより、上顎は左右ともきれいに造骨されているのがおわかりいただけるかと思います。 |
当院で、平成元年に下顎の左右に入れられていた、ITIの中空シリンダータイプインプラントは、左側はぐらついていたので、インプラント撤去後再埋入致しましたが、右側は問題なかったのでそのまま使用致しました。
全体的なバランスをみるかぎりでは、今後20年位は、メインテナンスフリーでいけるのではないでしょうか。
この方は、非常に明るく前向きで上品な方で、今回コラムを書くにあたって、年齢を確認して、外見・中身の若さにびっくり致しましたとともに、御主人さんの激務をこれまで支え続けてこられたのも、なるほどなーと勝手に納得しておりました。これからは、存分に、御主人さんの病気療養に付き添って、是非全快させて頂きたいと思います。
症例2
〇〇 〇之 73歳 ♂
写真B1、B2は2007.5.10初診時です。
上顎3.23は、これまで時間的に余裕がなく、自宅近所の歯医者で何回か応急処置を受けられていたそうですが、すぐまた欠けていたらしく、今回は退職されて、時間が出来、きっちり治したいということで来院されました。
下顎インプラントは、私が10年前に施術したものです。
この患者さんは、症例1の御主人さんで、堺市の為に長年尽力されてこられた方で、私もスタッフも、歯を早く低侵襲で造り上げ、あとはがんに対峙して治って頂きたい、というただ1つの思いだけで、スピードと精度を出し切って治療させて頂きました。
残存歯の動揺でブリッジがねじれ、前装部が破損していたので、中間欠損部は補強の為、インプラント致しましたが、オステオインテグレーションしない(インプラントが骨とひっつかない)リスクを考え即時加重は致しませんでした。
それでも、1ヶ月程で7+5は終了致しました。
右が済んでから左上67にとりかかりました。左上67は根が腐りきってしまっており、柔らかいものは、咬めますが、硬いものは痛くてかめない状態でした。
硬いものも咬めるように、抜歯してインプラントにすることを希望されておりましたので、抜歯致しましたところ、病巣が大きく、かなり大穴が開いていたにもかかわらず、驚異的な治癒力を発揮致しまして、わずか4ヶ月できれいに穴がふさがり、インプラントが可能な密度の高い丈夫な骨質になっておりました。11月27日インプラント致しまして、来週には歯が入る予定です。(写真B3)お楽しみに。
では、また来月。
岸川歯科 院長 岸川 裕 |