こんにちは、岸川です。
秘かに期待していたマラソンの高橋尚子選手が北京五輪最終選考となる名古屋国際女子マラソン9キロ地点で失速、27位に終わり、残念に思っていたところが・・、レース後インタビューでは品格の感じられる受け答えで、次も是非応援したくなった、3月9日日曜日夜中、
今月のコラム、早速いってみたいと思います。
お題は、“備えあれば、憂いなし その2”です。
まず、症例です。
写真1は ○谷 ○さん 48歳 男性
平成19年10月31日初診時のものです。
初診時のカウンセリング内容
現在、日本に住んでなく、2ヶ月に1回、日本に帰ってくる。
しかも、日本滞在は、毎回数日、年に2回だけは10日程。
日本滞在中は、仕事上の会議等でスケジュールはかなり詰まっている。
1年半前から上前2|12の揺れが激しくなりだし、堺市の自宅近所の歯科医院で、接着剤で隣の歯同士をつなぐことで、応急的にしのいでいた。
それから半年程して、インプラントをしようと思っていたら海外転勤が決まり、今年からシンガポールに住むようになった。
シンガポールでインプラントをしてくれる歯医者を探して受診したが、お互い信頼関係を築くことができなかった。
将来的に、日本に帰ってきて暮らすことになるので、後々のメインテナンスのことも考え、インターネットで堺市の自宅の近くでインプラント治療をしている当院を見つけて来院した。
以上
初診時、上の前歯はぐらぐらで今にも抜けそうで、奥歯も動揺が認められ、硬いものを噛むと痛みがある、とのことでした。
レントゲン上で、教科書どおりに判断すると、上顎の歯で、残せそうなのは2〜3本で、11本は抜歯が必要でした。
患者さん自身や身内がインプラントの成功を体験していれば、“いっぺんに11本抜歯して、インプラントにして下さい”という運びにもなったでしょうが・・。
この患者さんの希望は、“ぐらぐらの歯が自然に抜けたらその都度1本ずつインプラント出来ないか”というものでした。
この症例では、審美的要素の強い前歯は21|12 4本同時にインプラントしたほうが、歯肉ラインが揃い綺麗に歯が入るので、まず初めに取りかかり、奥歯はあらかじめ、増骨(サイナスリフト)だけはしておき、半年先か数年先かわからないけど、患者さん自身いよいよ噛めなくなったと判断した時点で、スムーズにインプラントに取り掛かれるように準備しておくといった譲歩案を提示することで、治療に移行することが出来ました。
インプラント治療では、ちょっとずつの変化・治療を望まれる患者さんに対しては、時間軸を見据えた診断が必要となります。時には機が熟すのを待つ必要もあります。
術者にいくら、治療の精度・スピードがあっても、時間軸を見据えた診断が出来なければ、治療が成功する/しない以前に、患者さんが安心して治療をまかせることは出来ません。
写真2は、平成20年2月7日再来院時のものです。
前歯が1本自然脱落し、シンガポールの歯医者で作成された1本入れ歯を装着されておりました。この日最初の時点では、前4本だけインプラントし、奥歯はその時になったら考えたい、と主張されておりましたが、奥歯が抜けた状態で放置されたり、奥歯だけ入れ歯をいれる羽目になると前4本のインプラントはひとたまりもありませんから、その辺をしっかり説明させていただき、最終的に前記譲歩案を受け入れて頂きました。
写真3は、平成20年3月3日 昼からシンガポールに帰るという状況下で 午前中に上前21|2抜歯同時インプラント埋入を予定しておりましたが、右21|の抜歯穴の状態が悪かったので、そこは次回にまわして、縫合無しでしかも術後あまり痛まないですませることが出来る箇所だけインプラントし、仮歯を入れてお帰りいただきました。
次回、帰国時1週間滞在できれば、両側サイナスリフト予定です。
写真4は、O田 OO子さん 84歳 女性
平成18年6月22日来院時のものです。
“もう先(寿命)も長くないし、右だけでも先に噛めるようにして欲しい”と言うことで、右を先にインプラント致しました。
写真5は、2年弱経過した今月の定期健診時、奥の歯が抜けたということで“右が良く噛めているから、その奥(歯が抜けたところ1本)だけでもいれてもらおうかな、左上の入れ歯はあまり着けてないし、もう先もしれているから、左上は歯要らんから、先生”と、ご自身で診断・計画を立てられており、ご希望どおりにさせて頂きました。平均寿命を過ぎている方の治療計画は、私の責任の取れる範囲で臨機応変に対応させて頂いております。悪しからず。
では、また来月。
岸川歯科 院長 岸川 裕 |