こんにちは、岸川です。
歯科治療の頻度として高いものに、虫歯治療というものがあります。その中でも、虫食い部分を詰めるという処置はほとんどのみなさんが受けられたのではないでしょうか。
ということで、今月のコラムは“歯の詰め物って?”です。
昔は歯の詰め物といえば、歯医者さんで歯型を取って、歯科技工士さんが金属で作る「インレー」や、銀と水銀を練和して詰める「アマルガム」が主流でした。
「インレー」は強度や耐久性・適合性は優れていますが、金属であるために見える歯に装着すると審美性が劣ってしまいます。(いわゆる、銀歯ってヤツです)
「アマルガム」は銀と水銀の合金ですが、経年的な劣化や微量ながらアマルガムから水銀が溶出することが問題視されています。
現在は、歯への接着技術の進歩や「レジン」というプラスティックのような素材の進歩により、可及的に歯を削らないで虫歯を治すことができるようになりました。前歯や奥歯でも現在は「光重合レジン」が多用されています。接着剤を塗布した歯に光重合レジンのペーストを詰めた後、ある一定の波長の紫外線をレジンに照射すると、10秒間ほどで固まってくれる操作性の良い素材です。レジン素材は歯と同色であり、虫食いの部分だけを削るだけですみ、可及的に健全な歯質を削らないですむ、金属より熱伝導性が低いので治したての歯がしみることが少ないなどのメリットがあります。
しかしながら、強度的にはインレーより劣るために、複雑な形の虫歯に充填した場合、欠けてしまう、経年的にはレジンが変色するなどの弱点もあります。レジンは虫歯の治療だけでなく、乳歯の「フィッシャーシーラント」という予防歯科診療にも使われています。乳歯の咬合面の溝は虫歯の多発部位ですが、虫歯になる前にフッ素入りのレジンで溝を埋めてしまうために、虫歯予防には非常に有効です。
より歯と同色であり、透明感などの審美性や強度を高めた素材としてはセラミック素材である「ポーセレンインレー」やレジンとセラミックの中間素材である「ハイブリッドインレー」などもあります。これらは型を取り、歯科技工士が製作する方法であるため、歯の切削量はレジン充填よりも多くなります。以下はメタルインレーをセラミックインレーに交換した症例1と長年歯を強く磨きすぎて、歯茎の際の部分がえぐれて虫食いになってしまった部分を、セラミックインレーで修復した症例2です。
症例1 |
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メタリックインレー |
セラミックインレー |
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症例2 |
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虫食いになってしまった歯茎 |
セラミックインレー |
修復後 |
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大切な歯の詰め物です。何でもいいや!ではなく、ご確認を!
今月も、何これ?どないしよ?っていうような難症例たくさんお待ちしております。
では、また来月。
岸川歯科 院長 岸川 裕 |