こんにちは、岸川です
今月のコラムは“長〜くかかる症例って??”です。
まず、症例です。
○○ 美○子さん 5○歳 女性
当院で治療されたご主人が奥様に、御自身の歯が綺麗になったので「お前もキレイにしておいで」とお声を掛け来院されました。
(写真A1、A2)はH20.2.4初診時のものです。
要治療の前歯が確認できるかと思います。
他にも、
@5年前入れた左下部分入れ歯が痛む。
A右下7番を2年前に治療したが、このまま様子見ましょうと、言われた。
B右上6番を1年前抜歯されブリッジにしないといけないと言われたが、右上7番を削るのがもったいないので、そのまま放置していた。
等々問題がいっぱいなのですが、当院の技術をもってすれば2〜3ヶ月で劇的ビフォーアフター完了!患者さんにも“ありがとー”と言って頂いて終了するパターンなのですが・・
このケース一番の問題点はレントゲンでも確認できますが、関節頭が擦り減ってしまっておりヘルニアと同じで、痛くて、噛み合わせが安定しないことでした。
インプラントと根管治療は2ヶ月程で終わりましたが、噛み合わせ治療が延々丸1年掛かって、最終かぶせまで入ったのが(写真A3、A4)H21.4.24です。
しかし、その後噛み合わせの微修正を余儀なくされ、先月迄治療用仮歯で噛み合わせ再治療をすることになりました。
探していたのは“一番体調が良くなる噛み合わせ”で、今月中には無事終了出来るかと思います。・・・ほぼ1年7ヶ月がかりでした。
○○ ○美○さん 5○歳 女性
(写真B1、B2)はH20.10.30初診時のものです。
前者の御夫婦と同じく来院された、奥様の例です。
上顎のブリッジは5年前はずれたそうで、それ以後今日迄外出時には(写真B3)の一連の歯を入れて出かけていたそうで、(写真B4)が入れた状態のレントゲンです。
当初何で一連の歯が接着剤も使わないのに上顎から落ちてこないのか不思議でしたが、器用にも舌で一連の歯を押さえることでしのいでいたそうで、さぞ辛かったと心痛致しました。
以前に行った歯医者で「5年もよくこんな状態でおいとったね!」と言われたのがショックでそれから歯医者へ行かなくなったそうです。
その間に残っていた根も溶けたり抜けたりしてしまい、結局当院初診時、上顎には米粒大の根がわずかに2個残っていただけでした。
骨質が疎なのと上顎の骨量が少ないのはレントゲン上で確認出来ると思います。
H20.11.25上顎臼歯567部の骨厚は右上6番相当部で1ミリ、他は2〜4ミリでしたから左右サイナスリフト(自己成長因子PRGF使用)同時インプラント埋入しました。(写真B5)
H21.7.24 PRGFの効果により骨再生がスムーズで、かなり早めにかぶせが入りました。手鏡を手にした患者さんは、“ワオッ”って満面の笑みで帰っていかれました。(写真B6)・・・それでも8ヶ月かかりました。(写真B7→写真B8)
当初、御主人さんも奥さんの治療計画を見て心痛されたようでしたが、治療後の“ワオッ”で、私と御主人と奥様とで“Woo〜!!”でした。
歯科医療では、器具や材料の進歩で日進月歩に治療時間が短縮されてきてはおりますが、噛み合わせと造骨は依然として長〜くかかる症例が多いです。
でも、一般の歯科治療で長〜くかかるはずがない症例が長〜くかかるのは、単に術者の技術の問題かヤル気の問題です。
みなさんよ〜く観察してみて下さい。僕も謙虚に初心を忘れず地域医療に貢献させて頂きたいと思います。
今月も難症例たくさんお待ちしております。
では、また来月。
PS.
8月末で、当院のスーパーマネージャー高橋さんが勇退されます。御歳アラフォーの倍、先代山上一郎先生から40年以上に渡り当診療所の秩序・良心の要として今日迄ご尽力頂きました。まだまだ元気で仕事して頂きたかったのですが、体力的に限界で後進に道を譲りたいと申し出られ、今回の運びとなりました。
私が歯医者になってから今日迄の18年間、筆頭ご意見番としてたくさんご指導頂くとともに、本当に温かく見守り続けても頂きました・・。18年前岡山から初めて堺東の診療所を訪れる私に、事前に電話で「難波から南海高野線で準急か急行の前から二両目に乗ると堺東駅ではホーム南寄りの階段の前に着くのでそのまま階段を昇って頂ければ改札・・」非の打ち所の無い対応は昨日の事のように鮮明に思い出されます。それ以来今日迄あらゆる場面で、気遣い・心遣い・プラス思考・人徳を以って“激動の歯科業界”で私を支え続け、ご指導頂いたことは、言葉で表現の仕様がないほど(ありきたりな表現しか出来ませんが・・)、感謝この上も御座いません。本当にありがとうございました。
今まで本当にありがとうございました。
岸川歯科 院長 岸川 裕 |