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今月のコラムです2011年5月のコラム

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「歯科レントゲンの被爆はどうなん??」です。

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こんにちは、岸川です。

福島原発事故では目に見えない放射線というものを相手に、収束の糸口も未だ見えて来ず不安ばかりが募ります。正しい知識を得ようにも、情報が錯綜し混乱しているようなので、今月はそのあたりも絡めレントゲン被曝というものを取り上げていこうと思います。

“歯科レントゲンの被爆はどうなん??”です。

単位

まず最初に知って頂きたいのは放射線の量を表す単位についてです。
放射線の量にはミリシーベルト(mSv)と云う単位を用います。

今回の福島第一原発事故では

今回の原発事故直後報道された被曝の安全基準値は1年間で100mSvでした。
この数字の根拠は、国際放射線防護委員会(ICRP)が過去の原爆・水爆実験や原発事故を分析し、被曝量が1年間で100 mSv以下であれば、(放射線の影響を最も受け易いと考えられる)胎児に対しても影響が無かったからだそうです。
日本政府が、事故後1ヵ月以上経過した時点で発表した避難指示地域は、福島第一原発から半径20km圏内と、20km圏外で累積放射線量が1年間で20mSvに達する可能性がある地域でした。

日常生活では

宇宙から降り注ぐ宇宙線や地中から放射される放射線などをあわせた自然放射による被曝は、
世界平均1人当たり1年間で2.4 mSvになります。ですから、日常生活でもわずかですが被曝していることになります。
例えば、飛行機に乗って東京・ニューヨーク間を往復するだけでも宇宙線を浴び、およそ0.2mSvの被曝をしてしまいます。

歯科レントゲンでは

写真Aの小さいデンタルレントゲンで1枚0.01 mSv。
写真Bの口腔全体が写るパノラマレントゲンで1枚0.02mSv。
写真Cの歯科用CTで1回0.2mSvです。
(いずれも当院で導入している最新鋭のデジタルレントゲンでの数値です、旧式のアナログレントゲンでは2〜10倍の放射線量となります。)

それでは福島原発事故後安全基準値となっている被爆線量を歯科レントゲンの被曝線量と比較してみるとどうでしょうか。

1年間で100mSv(ICRPの安全基準値)を、歯科レントゲンで同量浴びようと思うとデンタルレントゲン10,000枚を撮ることになり、1日27〜28枚を1年365日毎日延々撮り続ける計算になります。
1年間で20mSv(政府が考えに考えだした安全基準値)でも、2,000枚のデンタルレントゲンを撮ることになり、1日5〜6枚を1年365日毎日撮り続けることになります。

さすがにこれだけの量のレントゲンを毎日撮り続けると考えると、いくらICRPや放射線の権威がテレビに登場して“大丈夫だ、安全だ、”と云っても何ら保証をしてくれる訳ではないので、放射線を浴び続けなければならない人達にとっては精神的にも滅入るでしょうし、ガンには罹らないにしても心が病んでしまいそうです。
1年間に10,000枚とか2,000枚のデンタルレントゲンを撮っても大丈夫というぐらいですから、歯科医院で何枚かデンタルレントゲンを撮ることが問題無いということを、なんとなくおわかり頂けるかと思います。さらに、当院のように撮影時鉛の入った防護エプロンを着用すると被曝線量は10分の1以下となり、問題は限りなくゼロとなります。

ただ、1年間に10,000枚のデジタルレントゲンを撮ることの安全性には、直感的に疑問を感じます。(モチロン、撮ったことも、撮ることもないですが・・!)

まとめ

歯科レントゲンでは、取るに足りないリスクとみなすことができますが、医科の造影型CTでは1回の撮影で10mSvをはるかに超えるものもあり、特に意味も無いのに撮影することは避けなければいけません。
医療従事者として放射線量の低減化には常に努力する必要があると考えますし、当然レントゲン設備の更新は先進医療を継続していくからには必要不可欠なことだと考えます。

今月も安心・安全・良質・スピーディーな治療を望まれる方たくさんお待ちしております。
では、また来月、かな。

P.S

当院では4月より診療器具の多様化に対応するため減圧式高圧蒸気滅菌器を導入致しました。従来の減圧機能の無い高圧蒸気滅菌器では、121℃の高圧蒸気で器具を滅菌するのですが、細管状の器具では中に水分等が残っている場合そこへは蒸気が入っていかないので滅菌が不十分になる恐れがあります。
導入した減圧式高圧蒸気滅菌器では、細管状の器具であっても予め減圧することで水分等を抜くことが出来、その後132℃の高圧蒸気を送り込むので蒸気が管の中まで入り込み滅菌出来ます。
(写真は当院のもので、左が減圧式、右が従来のもの)
厚労省は121℃15分以上の滅菌は推奨しておりますが、方法や使用機器は各歯科医院の良識に委ねられている為、こういった高性能滅菌器の普及はまだこれからのようです。

 

 

岸川歯科 院長 岸川 裕

 


 

 

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